現地では「クラティンデーン」という名前で親しまれています。これはタイ語で「赤い水牛」を意味します。1976年に労働者向けの手頃なエナジードリンクとして生まれました。
タイでは、屋台で働く人から学生まで、多くの人々の日常生活に欠かせない存在です。小さな茶色い瓶がトレードマークで、コンビニの棚でよく見かけます。
日本でおなじみの缶タイプとは大きく異なります。炭酸がなく、シロップのような濃厚な甘さが特徴的です。ラベルの色によって、成分や味わいも少しずつ変わってくるのです。
この記事では、歴史から成分、他のドリンクとの違いまで詳しく解説します。タイを訪れる予定の方や、エナジードリンクに興味がある方に役立つ情報が満載です。
レッドブルのルーツと歴史
タイのエナジードリンク文化は、1970年代に日本のリポビタンDから大きな影響を受けました。当時、この日本の栄養ドリンクはタイ国内で広く普及していました。
労働者や一般市民の間で人気を集めていたリポビタンDに着想を得て、1976年に実業家チャリアオ・ユーウィッタヤー氏が新しい製品を開発しました。
KRATING DAENGの誕生と背景
「KRATING DAENG」はタイ語で「赤い水牛」を意味します。この名前の製品が誕生した背景には、タイの労働者向けに安価で手に入るエナジードリンクを作りたいという思いがありました。
小さな茶色い瓶に入ったこの飲料は、すぐに現地の人々に受け入れられました。炭酸がなく、シロップのような濃厚な味わいが特徴でした。
レッドブル創始者とのエピソード
1980年代初頭、オーストリア人のディートリヒ・マテシッツ氏がタイを訪れました。当時歯磨き粉メーカーで働いていた彼は、現地のエナジードリンクを試飲しました。
その効果に感銘を受けたマテシッツ氏は、この製品をヨーロッパ人の味覚に合うように改良すれば成功すると確信しました。1987年、彼はチャリアオ氏と提携してレッドブル社を設立しました。
こうしてタイで生まれた製品は、世界的なブランドへと成長していきました。現在では100カ国以上で販売されるまでになりました。
タイは現代のエナジードリンク文化の発祥地の一つとして、飲料業界の歴史において重要な位置を占めています。
タイのレッドブルの成分と効果
タイで愛飲されているこの製品の成分は、日本のものとは大きく異なっています。主要な成分としてカフェイン、タウリン、ビタミンB群が配合されており、これらが相乗効果を発揮します。
主要成分と栄養ドリンクとしての特徴
100mlあたりの含有量を見ると、カフェインは約32mg、タウリンは400mgとなっています。標準的な250mlの容器で飲むことで、タウリンを1000mg摂取できる計算です。
日本のリポビタンDが濃縮タイプであるのに対し、KRATING DAENGは容量が多い分、濃度が控えめに設定されています。これが日常的に飲みやすい理由の一つです。
特に注目すべきはビタミンB群の配合です。テオプレックスLという種類では、この栄養成分が強化されています。エネルギー効果よりも栄養補給を重視した設計となっています。
効果と利用シーンの解説
これらの成分が組み合わさることで、疲労回復や集中力向上の効果が期待できます。タイの暑い気候の中で働く人々にとって、体力維持に役立つものです。
炭酸が入っていないため、一気に飲み干すことができます。これにより素早いエネルギー補給が可能です。仕事前や勉強中の利用に適しています。
銀ラベルは低糖タイプで、健康に気をつかう人にもおすすめです。黒ラベルには亜鉛が配合されている可能性が高く、より強い効果を求める人向けとなっています。
タイのレッドブル vs 他エナジードリンク

エナジードリンクの世界には、同じルーツを持ちながら全く異なる進化を遂げた3つの代表的な製品が存在します。それぞれが独自の味わいと特徴を持ち、使用シーンに合わせて選ぶことができます。
リポビタンDとの成分と効果の違い
リポビタンDは100mlの少量に成分が濃縮されています。蛍光イエローの色と薬草のような香りが特徴的です。
味わいはツンとする酸味と甘ったるさがあり、人工的な印象を受けます。この「美味しくなさ」が逆に効き目を実感させる仕組みです。
一方、タイのエナジードリンクは250mlと容量が多く、日常的に飲みやすい設計となっています。無炭酸でシロップのような濃厚な甘さが特徴です。
現地製KRATING DAENGとの比較ポイント
現地で飲まれるKRATING DAENGは、薬品っぽさが全くありません。角のない柔らかい甘さが東南アジアの味覚に合っています。
実際に飲み比べてみると、レッドブルは炭酸入りで綿あめのような香りがあります。スッキリとした飲み口で、世界中の人に受け入れられる味に調整されています。
3つのエナジードリンクは成分こそ似ていますが、それぞれが独自の個性を持っています。親・子・孫の三世代のように、歴史的な進化の過程が味の違いに表れているのです。
タイのレッドブル:種類と味の特徴
太陽と2頭の牛が描かれたロゴマークは共通ですが、ラベルの色ごとに味わいと効果が変わります。タイで販売されているこのドリンクには、用途に応じて選べる多彩なバリエーションが揃っています。
各ラベルの違い
赤と青のクラシックタイプは最も基本的な種類です。シロップのような濃厚な甘さが特徴で、カフェイン約50mgを含んでいます。
黒ラベルはより強い効果を求める方におすすめです。カフェイン量が70〜80mgと多く、ややビターな味になっています。
銀ラベルは低糖タイプで、スッキリとした後味が軽いです。健康を気にする若者や女性に人気があります。
飲みやすさとバリエーション
実際に飲んでみると、赤と青の違いを区別するのは難しいと言われています。ほとんど同じ味に感じる方が多いです。
テオプレックスLは栄養補給を重視したタイプです。日本のリポビタンDに近い控えめな甘さです。
どの種類も1本10〜12バーツ(約40〜50円)で販売されています。気軽に試してみて、お好みの味を見つけてください。
ユーザーの実体験とレビュー
現地での飲み比べ体験レポート
ASCII.jpのエナドリ番長・スピーディー末岡氏はタイで7本もの種類を購入して飲み比べを実施しました。困ったのはタイ語が読めないことでした。
ラベルの色だけで判断するしかありませんでした。青ラベルは「甘くしすぎたリポビタンD」という印象で、炭酸が入っていない特徴があります。
| ラベル色 | 味の特徴 | 飲み心地 | 価格帯 |
|---|---|---|---|
| 青ラベル | 甘くしすぎたリポビタンD風 | 栄養ドリンクのような濃厚さ | 40〜50円 |
| 赤ラベル | 青とほとんど同じ味 | 区別が難しいほど類似 | 40〜50円 |
| 黒ラベル | 駄菓子屋の粉ジュース風 | さらに甘く強い味わい | 40〜50円 |
ユーザーの評価と感想
赤と青の違いを判別するのは非常に難しく、複数人で飲み比べても「ほとんど同じ」という結論に達しました。黒ラベルは他の2本よりもさらに甘い特徴があります。
ある体験者は「これは家族と似ている」と表現しました。母・娘・孫の三世代がそれぞれ違う性格を持つように、エナジードリンクも独自の進化を遂げていると感じたのです。
タイのコンビニでは気軽に購入できるので、旅行者でもお気に入りを見つけることができます!
結論
エナジードリンクのルーツを探る旅は、タイの小さな茶色い瓶から始まります。1976年に誕生したKRATING DAENGは、世界的なエナジードリンク文化の起源として重要な役割を果たしてきました。
「赤い水牛」を意味するこのドリンクは、タイの労働者のために開発されました。1987年にはオーストリア版Red Bullとして世界に広がる基礎となりました。
赤・青・銀・黒などの種類があり、それぞれ異なる成分配合と味わいを持っています。用途や好みに応じて選ぶことができます。
日本のレッドブルやリポビタンDとは味も成分も大きく異なります。無炭酸で濃厚な甘さが特徴的なタイ独自のエナジードリンクです。
1本10〜12バーツ(約40〜50円)という手頃な価格で販売されています。タイを訪れた際には気軽に複数の種類を試すことがおすすめです。
コンビニやスーパーで簡単に購入できます。現地の人々の日常に深く根付いた飲み物として親しまれています。
飲み比べを通じて、エナジードリンクの進化の過程を理解できます。タイ旅行の際には、ぜひ現地でしか味わえないオリジナルのKRATING DAENGを体験してみてください!
