最終更新日: 2026年1月4日
なぜタイで医療保険が必要なのか
タイの医療制度の特徴
タイには日本のような国民皆保険制度がありません。医療保険制度は大きく以下の3つに分かれています:
| 制度名 | 対象者 | 特徴 |
|---|---|---|
| 公務員医療給付制度(CSMBS) | 公務員とその家族 | 全額政府負担、手厚い給付 |
| 社会保障制度(SSS) | 民間企業従業員 | 月額上限750バーツ(約3,700円)の保険料 |
| 国民医療保障制度(UC) | 上記以外の一般国民 | 登録医療機関で低コスト診療 |
(出典: DYM Asia、グローバルマーケティングラボ)
私立病院と公立病院の違い
タイの医療施設は公立が約75%、私立が約25%です。外国人や富裕層は主に私立病院を利用します。
私立病院の医療水準は高く、バンコクの代表的な私立病院は日本の病院と比較して遜色ありません。日本語を話せる医師や日本語通訳が常駐する病院も複数あります。
(出典: 外務省 世界の医療事情 タイ)
ビザ別医療保険要件(2026年版)
ノンイミグラント O-A ビザ(ロングステイ)
50歳以上の方を対象としたリタイアメントビザです。2022年10月1日より、医療保険の要件が厳格化されました。
必要な補償額
- 10万米ドル以上または300万バーツ以上(約1,494万円)の治療補償
- 新型コロナウイルス感染症及び関連疾患の治療費を含むこと
- 保険期間は入国日から1年以上
追加要件
タイ国内もしくは外国の保険会社が発行した保険証券であること。外国の保険会社の場合は、OIC(Office of Insurance Commission)規定書式の医療保険加入証明書が必要で、公証人役場→法務局→外務省の順で認証を受ける必要があります。
(出典: 在福岡タイ王国総領事館、ゼロアジア タイ法律相談)
ノンイミグラント O-X ビザ(ロングステイ10年)
50歳以上で長期滞在を希望する方向けのビザです。
必要な補償額
- タイ国内の保険会社発行の保険証券であること
- 外来患者の治療費: 4万バーツ以上(約19.9万円)
- 入院患者の治療費: 40万バーツ以上(約199万円)
- 新型コロナウイルス感染症を含む10万米ドル以上または300万バーツ以上
- 保険期間は入国日から1年以上
(出典: タイ移住Navi)
LTR ビザ(長期滞在ビザ)
富裕層やデジタルノマド向けの長期滞在ビザです。
Wealthy Global Citizens / Wealthy Pensioners の場合
医療保険・社会保険・銀行預金のいずれかを準備する必要があります。
医療保険を選択する場合:
- タイ滞在期間全体を対象
- タイでの入院および医療費に対して少なくとも5万米ドルをカバー
- 残りの保険期間が10ヶ月以上
(出典: タイ移住Navi)
タイランドエリート
タイランドエリート(現: タイランドプリビレッジ)でのビザ取得には、公的な医療保険加入義務はありませんが、医療保険への加入が強く推奨されています。
(出典: タイ移住Navi)
タイで利用できる医療保険の種類
1. タイの社会保険(SSS)
タイ企業に雇用された場合に加入できる制度です。
特徴
- 会社と労働者の折半で給与の10%を保険料として支払い
- 保険料の月額上限は750バーツ(約3,700円)
- 登録医療機関での診療は一定の限度額まで本人負担なし
- 登録できるのは特定の1病院のみ
- 日本語対応の病院は含まれていない
(出典: グローバルマーケティングラボ、ワイズデジタル)
2. 日本の海外旅行保険
短期滞在者向けの選択肢です。
主な保険会社
クレジットカード付帯保険
一部のクレジットカードには海外旅行保険が付帯しています:
3. タイ現地民間保険
長期滞在者に最も適した選択肢です。
特徴
- キャッシュレス診療が可能な提携病院多数
- 終身更新可能なプランあり
- 医療保険料は年間最大25,000バーツまで税控除対象
- 免責期間: 加入後30日間(2年目以降はなし)
- キャッシュレス対応は加入後90日から
(出典: 保険知りタイ!)
4. 国際医療保険
複数国で利用可能な保険です。
主要保険会社の比較
Pacific Cross Health Insurance
Pacific Crossは、タイで最も信頼されている医療保険会社の一つです。
会社概要
- 設立: 65年以上の歴史(2024年時点)
- 市場規模: タイ市場で第2位の健康保険提供者
- 顧客数: 100万人以上
- アジア地域: 10以上の事務所を展開
- 日本語対応: 日本語デスクあり(contact_jp@th.pacificcrosshealth.com)
提供プラン
| プラン名 | 特徴 | ビザ対応 |
|---|---|---|
| Standard Plan | 基本的な補償範囲 | – |
| Premier Plan / Premier Plus | 長期滞在ビザ取得希望者に最適 | O-A、O-X、LTR対応 |
| Maxima Plan | 包括的な範囲、最も人気 | O-A、O-X対応 |
| Ultima Plan | 高額病室代、歯科・眼科含む | O-A、O-X対応 |
| Expat Care | 既往症もカバー(条件付き) | 要確認 |
特徴
- 終身更新可能(99歳まで)
- キャッシュレス提携病院550以上
- 24時間対応のグローバル緊急治療カバー
- ノークレーム割引あり
- 外来診療除外で保険料割引可能
- COVID-19補償あり
子供の加入について
- 10歳以下の子供のみでの契約不可(親または法定保護者も一緒に契約する必要あり)
- 5歳未満の子供は医療費の35%が自己負担
(出典: Pacific Cross公式サイト、タイ移住Navi)
Allianz Ayudhya(アリアンツアユタヤ)
Allianz Ayudhyaは外資系保険会社で、日本語対応が充実しています。
AXA Thailand
AXA Thailandは国際的な保険グループです。
その他の主要保険会社
日本語対応の主要病院
バムルンラード病院(Bumrungrad International Hospital)
バムルンラード病院は、タイを代表する国際的な私立病院です。
基本情報
- 設立: 1980年
- ベッド数: 580床
- 医師数: 1,300人(うちアメリカ医師資格保有者300人)
- 年間患者数: 120万人以上(うち外国人40%)
- 認証: JCI認証(2002年、東南アジア初)、「World’s Best Hospitals 2022」タイ唯一のTOP200選出
日本語対応
- 日本語通訳24時間常駐
- 日本語を話せる医師多数在籍
- 日本人専用受付カウンターあり
- ジャパニーズメディカルセンター設置
アクセス
- 所在地: スクンビット ソイ3
- 最寄駅: BTSナナ駅・プルンチット駅(徒歩約10-15分)
- 無料シャトルバス: BTSナナ駅から20分間隔(7:00-20:00)、エンポリアムから1時間に1本
(出典: バムルンラード病院公式サイト、メディヴァ、タイランドピックス)
サミティベート病院(Samitivej Hospital)
サミティベート病院は、日本人利用者が最も多い病院です。
基本情報
- 所在地: スクンビット ソイ49(スクンビット院)
- ベッド数: 270床(スクンビット院)
- 専門医師: 400名以上在籍
- 年間日本人利用者数: 約14万人
- 認証: WHO、JCI認証取得
日本語対応
- 日本語通訳約20名在籍
- 日本人専用窓口あり
- 小児科が特に有名
その他の院
- シーナカリン院
- シラチャー院
バンコク病院(Bangkok Hospital)
バンコク病院は、タイ最初の私立病院です。
BNH病院(BNH Hospital)
BNH病院は、バンコクで最も古い私立病院です。
パヤタイ病院(Phyathai Hospital)
パヤタイ病院も日本語対応のある病院の一つです。
ラーマ9世病院(Praram 9 Hospital)
ラーマ9世病院は、タイ王室の支援を受けて設立された総合病院です。
医療費の目安
タイの私立病院は自由診療制のため、医療費は病院によって異なります。以下は参考情報です。
外来診療(風邪等)
| 病院タイプ | 費用目安(バーツ) | 費用目安(円換算) |
|---|---|---|
| ローカル私立病院 | 1,500〜3,000バーツ | 約7,500〜15,000円 |
| 日本語対応私立病院 | 3,000バーツ〜 | 約15,000円〜 |
| 国立病院 | 1,000バーツ以下 | 約5,000円以下 |
※血液検査やX線撮影を含む場合はさらに高額になります
入院費用(1日あたりの部屋代)
| 病院名 | 費用目安(バーツ) | 費用目安(円換算) |
|---|---|---|
| サミティベート病院 | 約7,000バーツ | 約35,000円 |
| バンコク病院 | 6,800〜10,000バーツ | 約34,000〜50,000円 |
| バムルンラード病院 | 6,000〜12,000バーツ | 約30,000〜60,000円 |
※部屋のタイプによって異なります。全室個室です。
その他の医療費
- 人間ドック(バムルンラード病院): 約25,000バーツ(約125,000円)
- MRI検査: 高額(10万バーツとの事例あり)
(出典: 猫のように暮らしタイ、EMIDAS、メディヴァ)
重要な注意点
タイの私立病院では、治療前に支払い能力の確認が必要です。
- パスポート
- キャッシュレス対応の保険証
- 現金またはクレジットカード
これらを必ず持参してください。
保険の選び方
滞在期間別の推奨
短期滞在(1週間〜3ヶ月)
- クレジットカード付帯保険
- 日本の海外旅行保険
中期滞在(3ヶ月〜1年)
- タイ現地民間保険
- 日本の海外旅行保険(年間契約)
長期滞在(1年以上)
- タイ現地民間保険(推奨)
- 国際医療保険
目的別の推奨
リタイアメント(O-A、O-Xビザ)
ビザ要件を満たす保険が必須:
- Pacific Cross(Premier Plus、Maxima、Ultima)
- その他ビザ要件対応プラン
就労(ノンイミグラントBビザ)
- 会社提供の保険
- 社会保険(SSS)
- 追加で民間保険加入を推奨
タイランドエリート・LTRビザ
- Pacific Cross
- 国際医療保険
選択時の重要ポイント
1. 補償範囲の確認
- 外来・入院の補償額
- キャッシュレス提携病院の数と場所
- COVID-19を含む感染症の補償
- 既往症の扱い
- 歯科・眼科の補償有無
2. 年齢制限と更新保証
- 新規加入可能な年齢上限
- 更新可能な年齢上限
- 終身更新可能か
3. 免責期間
- 一般的な免責期間: 30日
- キャッシュレス対応開始: 90日後
- 2年目以降は免責期間なし
4. 日本語対応
- 日本語デスクの有無
- 対応時間
- 日本語での資料提供
5. 税控除
タイで医療保険に加入する場合、年間最大25,000バーツまで税控除対象となります。
お問い合わせ先
Pacific Cross 日本語デスク
- メール: contact_jp@th.pacificcrosshealth.com
- オンライン見積: Pacific Cross公式サイト
その他の相談先
- 在タイ日本国大使館: https://www.th.emb-japan.go.jp/
- 在福岡タイ王国総領事館: https://fukuoka.thaiembassy.org/
まとめ
タイでの医療保険選びは、滞在目的・期間・年齢・予算によって最適な選択が異なります。
重要ポイント
- ビザ取得には特定の医療保険要件を満たす必要がある
- 長期滞在の場合はタイ現地保険が最も合理的
- 日本語対応の病院と保険会社を選ぶことで安心感が高まる
- キャッシュレス提携病院の確認が重要
- 加入前に補償内容、免責期間、年齢制限を必ず確認
本記事の情報は2026年1月4日時点のものです。ビザ要件や保険内容は変更される可能性がありますので、最新情報は各機関の公式サイトでご確認ください。
